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この世界で、自分が怪しいなんてこと。 そんなの自分が一番分かってる。 2.突然の同居人 なんの前置きもなく、突然肩にかつがれたかと思ったら 今度はこの里で(たしか、木の葉って言ってた気がする・・・)一番偉い火影様とやらに会うらしい。 火影様を前にして、やっと私は、畑の案山子と名乗った人の肩の上からおりることが出来た。 忍者が驚くほど身軽なことにびっくりしつつも、少し酔ったのか気持ちが悪かった。 そんな私を横目に見つつも火影様は案山子って人と話をしている。 「で、カカシよ。突然おなごを連れてきたかと思えばなんじゃ?取り急ぎ話したいこととは?」 「・・・・それが、オレ自身突然のことで未だに信じられないのですが・・・実は」 そういって彼は、私がこの世界に来ることになったことの経緯を話し始めた。 「今日は任務も特になかったので、演習場で身体を動かそうと思って忍犬を口寄せしたはずだったんですが、」 言い終わった後、彼は唯一出ている右目を気まずそうに私に向けてきた。 それまで、気持ち悪さをなんとかこらえようとしていた私は、案山子って人と火影様の視線を感じてなんとなく気まずくなってしまった。 「・・・・この娘が現れたというわけか?」 「はい」 彼はそれが一大事だと言わんばかりに神妙にうなずいた。 「しかし、まぁーおなごが口寄せされたというだけではたいした問題ではなかろう?」 ・・・・いや、それが大問題なんですよ。火影様(汗) 私はどうやらこの人のせいでこんなところに来ちゃったんですよ!と主張したかったが、 どうやら発言してもいい雰囲気ではなさそうだったので、不満は心の中にとどめておくことにした。 「オレ自身も・・・まだはっきりと確証は得ていないのですが、・・・・この者はどうやら異世界から来たようです。」 「・・・本当か?」 なにを寝ぼけたことを、とでもいいたげに火影様はカカシを見た。 「はぁ。どうも、話しているとまったく話しがかみ合わないんですよ。木の葉のことも火影様のことも知らないっていうし。」 「ふむ。見たところチャクラは感じんから、一般人というのは間違いなさそうじゃが・・・まぁ、言われてみれば格好もちと変わっておるのぅ。」 「あ、あのー」 私は、私抜きで私の話しを勝手に進められていることに居心地の悪さを感じて勇気をだして、この2人の会話への参加を試みた。 そんな私の気持ちが分かったのか、 「おぉ、そなたを前にすまんかったの。で、異世界から来たというのは本当か?そなた名前はなんという?」 久しぶりに声を出そうとしたのと、初めて火影様と会話をするということでなんだかつっかえてしまった。 さっきまで心の中で不満ブーブーだったくせに、いざ火影様と対峙すると妙に緊張した。声も変だ。 「あ、え、ここは日本じゃないんですか?あの、私家に帰りたいんですけど・・・・あ、名前は、です。」 ね?とばかりにカカシは火影様を見た。 「ふむ。どうやらカカシの考えは当たっておりそうじゃの。 さん、ここは火の国にある木の葉隠れの里という忍者の里での。 あなたの言うニホンという所ではない。どうやら、このカカシのせいでこの世界に時空を超えて飛ばされてきたようだが、 忍犬を口寄せしようとした、と本人も申しておるように意図的にこの世界に呼び寄せたわけではない。」 「あの・・・つまりそれって・・・。」 火影様が続いてなんというかが、なんとなく分かってしまって私は少し青ざめた。 「どうやってこの世界にきたか、がわからん以上帰り方も我々には分からん、ということじゃ。」 「そんな・・・。私帰れないんですか?!だって・・・仕事もあるのに・・家は?皆私が突然消えたから、驚いてるんじゃ・・・。」 混乱している私の思考ごとストップをかけるように、火影様は私の言葉をさえぎった。 「あくまでも現段階での話じゃよ、さん。」 「え?」 「確かに、そなたがどうやって、何のために木の葉に来たかはわしにもこのカカシにも分からん。 しかし、事が起こったからには原因を突き止めねばなるまい?」 「それって、どうやって私がここに来たかが分かれば、帰り方もわかるってことですか?」 私は、そうじゃなくちゃ困る!と目で火影様に訴えた。 「そうじゃ。木の葉の忍者が関わっとる以上、わしが何もせん訳にはいくまい? それに、見たところ木の葉に害をもたらすような人でもなさそうだしの?」 同意を求めるかのように火影様はカカシに目線を送った。 「原因の追究は当然として、彼女が木の葉にとって害か否かはまだオレには判断しかねます。」 「・・・・・・。」 急に胃の辺りが重く感じた。 そっか。そうだよね、突然だったからこんな状況に文句言ってたけど、この世界の人にしたら私ってすごく怪しいんだ。 今までは、免許証とが住民票とか社員証があったから私が何者かなんてすぐに分かった。 だから私のことを存在から疑うなんてこと起こりもしなかったけど・・・・。 身元がはっきりしないってことは、信用もされないってことなんだ。なんで、そんなに簡単なこと今まで気がつかなかったんだろう。 逆に、どうして火影様は私に害がないなんて思ったんだろう。 「あ、えと、私がこの世界で怪しいなんてことは私が一番分かってます。・・・簡単に信じてくれなんて言えないですけど、 でも・・・なんていうか、私もなんでここに来たのかはわかんないんですけど、 あの、でも帰り方が分かるまではここで暮さなくちゃいけないので、信じて欲しいといいますか・・・。」 あぁ、自分でも会話の内容に要領を得ていないのが分かった。 けど、今は自分は疑わしい人間なんかじゃないと分かってもらうのに必死だ。 「ふむ、まぁチャクラも感じんしの。なんの目的があってさんがこの木の葉隠れの里に来たかは、わからんがしばらくはこの里で暮すしかあるまい。 で、じゃ。カカシ?元の世界への帰り方がわかるまで、さんにはお前のもとで暮してもらおうと思うのだが。」 「え?!」 急なことに驚いた。 だって、私いつ帰れるかわかんないのにそれまでさっき会ったばっかの人と暮らすの?! しかもこの人、男だし、失礼だし、なにより畑の案山子だし! この日はいろんなことが起こりすぎているためさんの思考回路に若干問題があるのは、まぁよしとしよう(汗) by管理人 しばらくぶりにカカシは口を開いた。 「なーに?オレと暮すのがヤダって顔にかいてあるね、アンタわかりやすいってよく言われるだろ。」 ・・・この人と一緒に暮すなんて、絶対無理。 「あの!火影様、どうしてもこの人じゃなきゃダメですか?一緒に暮らすなら他にいませんか?第一私男の人と一緒に暮すのはちょっと・・・・。」 「そうじゃのぅ、事の発端はカカシにあるわけだしなにかあった時に対処しやすいのもあってよい案だとおもったのだがの。 おぬしの事をあまり他言はしたくないんじゃがな。くの一当たりに当たってみようかのォ。」 断固そうしてください!いつになるかわからないのに無理です! 面と向かってはっきりとは言えなかったので、私は態度で無理だということをアピールすることにした。 「ふーん。ま、安心してよ。別にオレアンタに手ェ出すほど困ってないから。」 ・・・・・落ち着け、アタシ。 失礼にも程があるのはまぁこの際置いといて。アタシみたいな身元不明な怪しい人と本気で一緒に暮す気なの、この人。 だから、分かりやすすぎだって。 「オレはいーよ。そんなつもりぜーんぜんなかったけど、オレの口寄せでアンタが現れたのは事実だし。 ・・・・・そもそも、」 いままで、表情がいまいち掴めなかった彼が急に真剣な顔つきになって空気も少しピリッとしたものになった。 「オレ、アンタのこと信用してないから。」 急に突き刺すような視線に捕らえられた私は、うまく彼の言いたいことが掴めなかった。 「え・・・?だったら一緒になんか、」 暮さなきゃいいんじゃ?って私の言葉をさえぎって彼は 「監視役ってこと。いまいち事情を知らない、くの一が世話役だといつのまにかなれあっちゃうでしょ?」 「あ・・・それも・・・そう、です・・よね。」 私ったら、さっき自分で自分が怪しいって思ったのに全然わかってなかった。 この人は、この木の葉隠れの里の忍者なんだ。 私が、何かしようとしたらまっさきに殺すに違いない。 そっか。でもそんくらい疑うのが普通だよね。こんな、どこの誰ともわからないやつ。 「カカシよ・・・これから同じ家で暮らすんじゃ。里のことを思うのもわかるが・・・な?」 少し私を不憫に思ったのか火影様は彼を優しく諌めてくれた。 「いいえ。三代目はもう、この女のことを大して疑ってはおられないのでしょう? だったらオレくらいは、この目でこの女が木の葉に害がある者ではないと確かめるまで、疑っているくらいがちょうどいいと思います。 ですから、監視役はオレで十分ですよ。」 「あ、あの火影様?私疑われても大丈夫です。自分で自分が怪しいのは分かってますから。 帰り方がわかるまでこの方の元でおとなしくお世話になります。」 私なんかを少しは信用してくれて、優しくしてくれる火影様にこれ以上迷惑はかけられない。 大丈夫ってことを伝えたいけど、きっと、今の私の顔は引きつっててうまく笑えてないに違いない。 大丈夫、きっとうまくやっていける。 「あの。」 そう言って私は案山子って人に向き合った。 「怪しい者ですが、これからよろしくお願いします。」 はっきりと、そう言って私は頭をさげた。 ・・・・不思議な子じゃの。異世界から来て不安じゃろうに。 火影は会ってまもない娘を簡単に信用してしまっている自分に少しばかり驚いていた。 なぜが、疑う気になれないのだ。 一般人だということもあるだろうが、表情がくるくる変わる様は見ていてなんともかわいらしい。 それに、なんとなくだが雰囲気が温かいきがするのに芯はしっかりとしていそうだ。 まぁ、今のカカシにとってよいきっかけになればよいがな。 忍としては文句なしじゃが、どうもこの男はいろんなことを諦めているところがあるからの。 まぁ、そういう風にしてしまったわしらにも責任はあるがな。 「ま、少しでも怪しい事したら即、首はねるから。そんくらいは覚悟してちょーだいね。」 じゃいきますか。と目の前の男はつぶやいていたが、なんとまぁ、こうも恐ろしいことを簡単に口にするのだろうか。 「?」 一瞬自分が呼ばれたのだと気がつかなかった。 だって、今火影様。 私のことって。呼び捨てで。 「困った時には、いつでもここにおいで。それと生活のことはわしがなんとかするから心配はせんでよい。 なにかわかった事があれば、すぐに知らせをよこすから。カカシはこうは言っとるが、それもこの里を思ってのことじゃ。 わかってやってくれ。」 火影様はあったかい笑顔でそう言ってくれた。 「あ、はい。ありがとうございます。」 ただ、呼び捨てにされただけなのに。 なんでこんなに、泣いてしまいそうなんだろ、私。 「それじゃ、たのんだぞ。カカシ。」 「はい。では失礼します。」 いくよ。そう、私のそばに彼が来て言うまで、私は下を向いて泣きそうになるのをこらえるので必死だった。 「あ、それでは、また。」 ぺこりと頭を下げて私は、先に歩き出してしまった案山子って人を急いで追いかけた。 「・・・これから、どうなるかの。」 1人残った部屋で火影はつぶやいた。 ・・・ところ変わって 「あの!待ってください!歩くの速いです。・・・っはぁーはぁー。」 なんでこんなに早く歩いといてひょうひょうとしてるんだこの人は。 私は、置いてきぼりを食らわないように必死に追いつくのと息を吸うのでいっぱいいっぱいだ。 あぁ、そういえば忍者だっけ。畑の案山子なのに。 そんなことはどうでもいいというような目でカカシはを見ていた。 「・・・一般人て、面倒だね。ま、はやくしないと店しまっちゃうでしょ?」 なんかもう、この人の失礼具合にだんだん慣れてきた・・・。 「店・・・?」 「そ、オレん家女物の服とかないしねー。必要でしょ?いろいろ。」 「あ、そういえば・・・」 「それに、抱えて飛んでってもいーけどアンタ酔うみたいだし。」 ・・・気づかれてたんだ、さっきの。 でも、なんだかんだ言って少しは気遣ってくれているのかもしれない。 少しはいい人なのかな・・・・? 「ま!どっちにしろ面倒だよねー、一般人て。」 前言撤回。 はぁーこれから大丈夫かな、ホントに。 「なにやってんの?置いてくよ。」 「ぁ、待って。」 置いてかれたら、困る!ただでさえ私ここのことなんにも知らないのに。 追いつこうと必死になっている私をよそに、彼はくるっと振り返って私の方を見た。 「あぁ、そうそう。あとアンタなんか勘違いしてるみたいだから言っとくけど。」 また、なにか物騒なことでも言われるんじゃ、と思った私は少し身構えた。 「オレ、畑の案山子じゃなくって、はたけカカシだから。」 ・・・・・ホントこれからが心配です、お母さん。 あ、苗字はひらがなで名前はカタカナねー。 なんてのんきに言っている彼をよそに、アタシはこれからどうやってこの人と暮していけばよいのかの心配ばかりしていた。 はたけさん。 でも、それを言うなら私だってアンタじゃなくって っていうんですよ。 まずは、名前で呼んでもらうことから・・・かな? そう心の中で思ってはあわててカカシの後を追った。 はい、やっとカカシ先生との生活が始まりましたー。 ん?名前すら呼んでもらえないのかって? わー石投げないでください(汗 すみません、これからおいおいってことで。 諦めずに読んだってクダサイ。 引っ越したばかりのころ、免許証の住所が地元のままでしばらくは会員証とかが作れなくて困りました。 そのとき、身元が証明されるのって大事なんだなーと感じたのです。 一緒にすんなってかんじですが。 あ、ちなみにカカシ先生はまだナルトたちとは出会っていない設定です。 暗部後の上忍という設定です。(そんな時があったのかはさだかではないのですが・・・) そのうち、彼らも出演させたいなーvv まだ先生じゃないですが、ワタクシとしてはカカシ先生は先生なのデス。 次回も頑張りますー |